名前
タイだかカンボジアだかの皇太子の名前は『チャクラポン』というらしい。テレビのニュースで「チャクラポン殿下」とか言ってるのを聞いて、おもいっきり笑ってしまった。
そういえば『コンスタンチン君』というのもいた。
馬鹿な親が生まれて来た自分の子供に『悪魔』と名付けようとして(ワイドショーとかで)問題になったこともあった。あれは結局『魔悪(マーク)』にする、ということで話は落ち着いたらしいが、せっかくそこまで話題になったんだから、『あくまでも悪魔』とか、なんかもっと面白い名前にして、いや『あくまでも悪魔』はあんまし面白くないけど、自分でも今のはちょっと失敗だったなとは思うけど、とにかくなんかそういうのにしてもっといろいろ引っ掻き回してほしかった。
オレは幼稚園の頃から息子の名前を考え続けている。
『いつかオレに子供が出来たとき、どんな名前を付けてあげようか』というのは、オレの人生の中でもけっこう大きなテーマのひとつだ。
自分が親に世間ではまぁなかなかめずらしい『究』という名前を付けてもらったせいかもしれないが、やはり名前はめずらしい方がいいと思う。めずらしければめずらしいほど名前が、その本人のアイデンティティーをより強固なものにしてくれるような気がする。
子供の頃、自分の子供に用意していた名前は『リュウ』だった。やっぱりカタカナで、『ケン』とか『リュウ』とかの方が強そうでカッコいいなぁと思っていたのだ。子供らしいといえば子供らしいが、今考えると少し恥ずかしい。たしかコロコロ・コミックかなんかで連載されていたマンガの主人公のカンフー使いがそういう名前だった。又吉リュウ・・・・・・・。こら、そこ、笑うな。
仏教に凝っていた時は本気で『悟空』にしようと思っていた。『悟』で『空』なんてものすごくカッコいいし、目立ちそうだ。強そうだし。だがそうなってくると弟を『サゴジョー』にしたり、『チョハッカイ』にしたり、ゴダイゴ(ちょっと古いか)の歌を熱唱したりしなければならなくなってきそうだ。タケカワユキヒデ。いや、なんとなく思い出したので言ってみただけだ。又吉タケカワユキヒデ。いや、なんかおもしろかったのでつい言ってみただけだってば。
最近はなんだかどんどんシュールになってきていて『ロボ』というのはどうだろうと考えていた。強そうだし。もちろんカタカナの方がいいのだがそれがダメなら漢字で『路傍』と書く手もある。まぁだがしかし『ロボ』の場合、名字はなるべく山田とか、田中とかの方が好ましいかもしれない。又吉ロボ、よりかは山田ロボ、田中ロボ、とかの方がなんかカッコいい気がする。
そして今、一番の最新作が『ねじ』だ。『ねぢ』でもいいな。ここまでくると、もうなんか超越してるかんじだ。ギブアップごめんなさい、あなたの勝ちです、よくわかんないけど凄いです、というかんじがする。我ながらよく思いついたと思う。兄弟で、『ロボ』と『ねじ』、とかだったらかなりカッコいいんじゃないだろうか。三丁目の又吉さん家の、エレクトリカルストロングマシーンブラザーズ『ロボ&ねじ』。おたがいがおたがいを本当に必要としている、すばらしい兄弟愛。というよりホモ。『ねじ』だけに『ロボ』の大切なところにグリグリと・・・・というかんじもまぁしないでもないけども。強そうか強そうじゃないか、というとこではこれ以上の名前の兄弟はいないだろう。
あと、オレの名字の『又吉』は名前みたいでもあるので『又吉又吉』という手もある。『マタヨシマタヨシ』。『マタヨシマタキチ』と見せかけておいて『マタヨシマタヨシ』。
デパートみたいなトコで、制服を着た、鼻の奥で少しくぐもったかんじのアナウンサーみたいな喋り方をするきれいなお姉さん。
「お名前は。」
「マタヨシ、マタヨシです。」
「マタヨシ様ですね。あの・・・漢字の方は。」
「ああ、えーとカタカナの『ヌ』みたいなマタと、大吉のキチです。」
「はい、かしこまりました。ではお名前の方は。」
「マタヨシです。」
「ええ、ですからお名前の方を。」
「マタヨシ、マタヨシです。」
「ええ、ですから・・・・」
というのも面白そうだ。『サイトウサイトウ』とか、意表をついて『ナカノスズキ』とか、楽しみは広がるばかりだ山田木村。
そういえば名字の話で思い出したが、オレには『又吉』の他に三つ、『中村』又は『仲村』、そして『ウフナカンダカリ』、というすごい名字がある。
「うふふ、あたしはもうミチコじゃないの。モケーレ・チョムチョム教に入信したとき、ザバダギリ神様が名付けて下さったアンリ・ヤギ・モヒャーヌという立派(立派か?)な名前があるの。もう誰にもミチコなんて呼ばせないわ。」
というかんじの、ちょっとひいてしまいそうな、ヤバいかんじの、ジョーダンみたいな名字だが本当だ。家庭裁判所に行ってしかるべき手続きをすれば明日にでもオレは『ウフナカンダカリ究』になるのだ。漢字で書くと『大仲村ダカリ』(残念だがダカリという漢字はオレには難しくて書けない。ワープロでもどうやって探せばいいのかまるで解らない)恐るべき不思議島、アメージングスポット沖縄というかんじだ。
事の真相は、母方の家が『ウフナカンダカリ』だったのが(これは東京とかで言うところの『サイオンジ』とか『アヤノコウジ』とか『ヒガシクニ』とか、そういうのにあたる。沖縄でもめずらしい。)沖縄もアメリカになったことだし、これではあんまりだし、外人さんも『ウフナカンダカリ』では言いにくすぎて舌を噛んでしまって下手をすると死んでしまうかもわかんないし、ということで『大』と『ダカリ』をはずし『仲村』になり、なんでかよくわかんないけど、まぁ春だし、ベトナム戦争も終わったことだしと、たぶんそういうかんじでニンベンがとれ『中村』になったらしいのだ。両親はとっくの昔に離婚してるし、オレは成人してるし、親父は行方知れずだし、オレはいつでも誰に遠慮することもなく『ウフナカンダカリ』になれる男なのだった。
その気になれば家庭裁判所と教会をハシゴし、一日のうちに
「ウフナカンダカリ・ヨハネ・パウロ・キワム」
とかになることだって出来るのであったザザーン(効果音)。
やはりなにか人生の大切なときとか、逆に、ものすごーくたいくつなときとかにはそういう名前に変わってみようかと思っている。
でもそうなってくると息子は『ウフナカンダカリねじ又はロボ』か・・・・・・。
ザバダギリ神様もびっくりだな。
後記
例の「悪魔ちゃん」だが、実際には『魔悪(マーク)』ではなく、漢字は忘れたが「アク」になったらしい。
たしか「亜久」だったような覚えがあるがはっきりしたことは言えない。
まぁどっちにしろ本文は思いきり間違っているということである。
これ以上間違いを重ねることもあるまい。
その情報によると、
悪魔ちゃんの両親はとっくの昔に離婚しており、
しかも悪魔ちゃんの母親はオレと同じ沖縄出身の人らしい。
もしかすると母親の旧姓も「ウフナカンダカリ」かもしれない。
これまたザバダギリ神様もびっくりなのだった。
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