プープー怪獣



 プープー怪獣。
 オレの母ちゃんは、たびたびオナラをする人をこう呼ぶ。
 他にも「欲しい欲しい怪獣」とか、「好き好き怪獣」とか、いろいろある。
 何かと怪獣願望のつよい人なのだ。
 子供の頃はなんでか知らないけど、自分の母親がそういうことを言うのが許せなかった。
 憎しみさえ覚えた。
 しかし今ではオレも自分の彼女の前で、
「オレ、実はひざまくらしてして怪獣やねん。」
 とか、
「ううん。オレ今チューチュー怪獣やから日本語解れへんねん。」
 とか言って鼻の下をのばしたりしている。
 そして、実を言うと怪獣だけでなく時には、
「はらぺこ侍」
 になったり、
「もみもみエンジェル」
 になったりまでしているのだ。
 母ちゃんゴメン。


 しかし誰だって一度くらいは憤慨して、
「はらたつのり!!」
 と叫んで暴れ回った経験くらい持っていることと思う。
 それはある意味「プープー怪獣」と似てはいないか。「はらたつのり」は一種の「ムカつきエンジェル」と言えると思うのだがどうだろうか。
 イライラ侍「はらたつのしん」
 ムカムカ貴族「はらたつまろ」
 いつもより多く回しております「はらいちたつのすけたつたろう」
 怒れるロシア人「イカレンコ・ムカノビッチ」
 おーい、待てー、そっちに行ったら「イカンガー」
 などなどいろいろなバリエーションも考えられるが、現代日本ではオレも含めて、今やとにかく誰もが気軽に変身を楽しんでいるように思う。
 変身はいい。
 イメージの世界に遊べる人というのは魅力的でさえある。
 ここでひとつ「銭湯」という詩を紹介しよう。



銭湯

 銭湯に行ったら
 小さな子供が「パンツマーン!!」と言って
 おじいさんらしき老人に
 本気キックや本気パンチをお見舞いしていた
 なんということだろう
 こんなところに
 オレ以外にもパンツマンが存在したとは
 




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